ハンセン病制圧活動サイト Global Campaign for Leprosy Elimination

WHO Ambassador's Column

コラム

WHOハンセン病制圧大使:笹川陽平活動記

Vol.17 2017.1.17

Global Appeal 2017 日本財団会長・IPU議長対談

DSC_0490グローバル・アピールは、ハンセン病患者、回復者とその家族に対する差別撤廃を広く訴えるために、毎年世界ハンセン病の日に合わせて世界に向け宣言を発表するものです。
2017年は、1月30日にインド・デリーで、列国議会同盟(IPU)と共に発表します。
グローバル・アピール2017に向けて、列国議会同盟議長と日本財団会長が対談を行いました。

笹川陽平会長:
日本財団は2006年に第1回グローバル・アピールを発表しました。この度、第12回目のグローバル・アピールを列国議会同盟(IPU)の賛同を得て発表できることを嬉しく思います。IPUは長い歴史と世界的な視野をもつ組織です。IPUについて、その目標や活動についてお話しいただけますか?

サベル・チョードリー議長:
IPU は主権国家の議会で構成される世界的組織です。現在、171議会が加盟しており、その構成員である4万5千人以上の国会議員によって世界の65億人を代表しています。

国際連盟や国際連合設立のはるか前の1889年に、平和を愛する二人の国会議員、後のノーベル平和賞受賞者、英国のウィリアム・ランダル・クリーマー卿と、フランスのフレデリック・パシー氏の提唱により設立されました。IPUは世界初の多国間の政治対話と交渉の常設フォーラムというユニークな組織です。

IPUの役割は国民の期待に応えるべく、より強固な民主主義と効果的な議会を目指し、世界平和、繁栄と持続可能な開発を推進することに加え、IPUの重要な中心的役割として議会外交があります。国際連合との関係も拡大し、深まっており、その価値観と目指す理想を共有しています。国連で行われる活動に重要な議会的側面を付与しています。

人権擁護と推進は設立当初からIPUの最優先事項であり、人権擁護者としての国会議員の人権を確実に保証する特別なメカニズムを有しています。

笹川:
グローバル・アピールもハンセン病患者、回復者の人権の推進を目指しています。議会が人権を保障するために担う役割をどのようにお考えか、もう少しお聞かせ願えますか?

チョードリー:
国会議員として立法は我々の主たる職務の一つであり、常に法律が、我々議員が代表する国民のより良い生活を保証するために使われているかを見直さなければなりません。
特に人権および我々が目指すインクルーシブな社会の観点から、男女、地域社会のいかなる事項または個人に対して、差別的な法律を特定し、廃止していかなければなりません。

笹川:
チョードリー会長、あなたは、バングラデシュでハンセン病の差別をなくす取り組みをされたと伺っております。どのようなきっかけでその活動をはじめ、どのような成果を挙げられたのですか?

チョードリー:
バングラデュでは、1898年の「らい病法」(Lepers Act)によって、ハンセン病患者、回復者を社会から隔離しました。この法律はハンセン病患者、回復者への差別を容認し、収監条項も含まれていました。私が議員提出法案としてバングラデシュ議会にこの法律の廃止を提出、審議したことで、ハンセン病患者、回復者も他の人と同じように、全国どこの病院でも治療が受けられるようになりました。これは、それ以前のバングラデシュでは認められていなかったことです。

笹川:
すばらしい功績だと思います。ハンセン病の差別は、残念ながら途上国だけでなく、先進国でも存在しています。私は世界中で、ハンセン病だというだけで職を失ったり、結婚を破棄されたり、隔離されてしまった人たちを見てきました。彼らが悪いわけではないのに、患者や回復者たちは、のけ者にされ、置いていかれてしまっています。私たちは、彼らが尊厳をもって生きられるインクルーシブな社会を作る必要があります。IPUはそのために何か具体的なアクションをお考えですか?

チョードリー:
「だれも置き去りにしない」、これはIPUの2030年に向けての抱負と目標です。それは社会において最も低い地位にいる人たち、最も社会の周縁に押しやられている人達を優先的に支えていかなければならないということです。法律の制定、適切な政策立案、必要な資源の割当を通じ、国会議員こそが変化をもたらし、主要な役割を果たすことができるのです。
すでに言及したとおり、グローバルなメンバーのプラットフォームであることから、まずIPU はできるだけ多くの国会議員および議会がハンセン病の問題意識を敏感に捉えるように、そして次に、特にまだ問題が解決されていないところでは積極的に差別撤廃活動をおこすことを望んでいます。

笹川:
最後に、IPUはその活動を通じて、どのような社会を実現しようと考えていますか?

チョードリー:
平和とすべての人の繁栄の概念に基づく、真に民主的で開放された、平等、公正でインクルーシブな社会です。IPUが目指すその社会は、人々の抱負を考慮するだけではなく、成し遂げ達成することであります。

笹川:
私たちは同じビジョンを共有していると思います。これからも多くの人が私たちの活動に加わり、アクションをとってくれることを期待しています。