■治療場所
入院や隔離の必要はありません。地域の一般保健所で、外来治療を受けることができます。
Leprosy History of Medical Treatment
ハンセン病には1991年にWHOにより確立された、多剤併用療法(MDT)と呼ばれる治療法があり、
早期に治療すれば、痕も残すことなく完治できます。
リファンピシン、ダプソン、クロファジミンの3剤を併用する多剤併用療法(MDT)がWHOより標準治療法として推奨されています。治療期間は少菌性(Paucibacillary=PB)の場合で6カ月、多菌性(Multibacillary=MB)で12カ月となっています。MDTは1か月分(28日分)の服用量が1枚のブリスターパックに包装され、裏面には服用する順番に番号が記され、間違わずに服用できるように作られています。
※少菌性(PB)は知覚麻痺の皮膚斑紋が1〜5つあるもの、多菌性(MB)は5つを超える知覚麻痺の皮膚斑紋、もしくは神経肥厚が2つ以上あるもの
※子ども用とは、ここでは10歳から14歳を意味します
入院や隔離の必要はありません。地域の一般保健所で、外来治療を受けることができます。
1
知覚のない斑紋があったら、ハンセン病の可能性を疑い、すぐに地域の保健所や医療機関に相談しましょう。ハンセン病治療においては、早期発見、早期治療がなによりも重要です。
※斑紋に知覚があるかどうかは、ペンや羽などを使って確認します。
2
ハンセン病と診断されたらMDTによる治療を開始します。毎月1回医療施設で治療状況を確認、次の1ヶ月分のブリスターパックを受け取ります。
3
知覚障害が起こっている場合は、日常生活で怪我をし、それが後遺障がいに発展しないよう、注意することが重要です。
※毎日手足のセルフケアをおこないます。
~1941
1940年代初頭までは、インド原産の大風子油から作られた大風子油を筋肉注射するという治療法が広く使われました。注射時の激痛、症状が再発しやすい、有効性が不確かであるなどの問題がありました。
1943~
1943年、アメリカ・カーヴィル療養所のファジェイ博士により、プロミン(スルフォン剤)のハンセン病に対する有効性が報告され、この発見は「カーヴィルの奇蹟」と呼ばれました。
日本では石館守三博士が1946年、独自にプロミンの合成に成功し、1949年から広く導入されました。1950年代以降は、静脈注射用のプロミンから有効成分を抽出して経口剤としたダプソンが世界的に使われるようになりました。
1960年代〜1970年代に入ると、ダプソンに対する耐性菌の発現が世界的に報告されるようになり、単独使用による問題が広く議論されるようになりました。
1981~
耐性菌の発現に対処するために、新しい治療法の開発が進められた結果、1981年、WHOの研究班により、リファンピシン、ダプソン、クロファジミンのうち2剤、または3剤すべてを併用する治療法が確立されました。MDT(Multidrug Therapy=多剤併用療法)と呼ばれるこの治療法は、もっとも効果的で再発率が低い治療法として、ハンセン病の標準治療法として推奨されています。安全で服用方法が簡単な点も大きな特徴です。