Books on Leprosy / ハンセン病図書室
廣川 和花
大阪大学出版会 2011年発行
解説
客観的資料に基づく実証研究により、近代日本のハンセン病史を再構築しようとした一書。ハンセン病問題の地域ごとの多様性に着眼した点が新しく、なかでもハンセン病自由療養地構想と草津の湯之沢部落、そこに深く関与したコンウォール・リーと聖バルナバミッションを扱った章は本書の白眉と言える。癩予防法と各都道府県に委ねられた裁量部分の分析も貴重で、〝無癩県運動〟や〝患者狩り〟の実像を始め、新たな研究の拡がりを予感させる論考である。