Books on Leprosy / ハンセン病図書室
鈴木時治、寺島萬理子
晧星社 2002年発行
解説
この詩画集には、ハンセン病にすべての指と両脚を奪われ、失明寸前になりながら、自らの「生きるあかし」のため、絵を描き続けた鈴木時治氏の作品が収められている。幼くして亡くなった妹たちの俤、光の焔のような向日葵の花、青く澄んだ山影と人知れず渓を流れゆく河。頁をめくる毎に、時が止まってしまったような静寂を湛える稀有な色彩の世界が広がっていく。やがて画家の魂の灯に照らし出された幽明の境から、命のたしかな鼓動が谺してくるのである。