Books on Leprosy / ハンセン病図書室
藤野豊
岩波書店 2006年発行
解説
基本的人権の尊重を謳った日本国憲法が施行され、戦後民主主義がはじまったにもかかわらず、戦前の隔離政策はそのまま継続され、それどころか強化された。著者はその理由を、憲法の「公共の福祉」の論理に求め、多数者の福利を最大化するという要請のもと「民主主義そのものが絶対隔離を必要とした」ことを明らかにする。獄死者を出した重監房の存在、断種や堕胎の強制などにも触れつつ、戦前から戦後に至るハンセン病政策の問題点をするどく告発する一冊だ。