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ハンセン病とキリスト教

ハンセン病とキリスト教

荒井英子 
岩波書店 1996年発行

解説

近代日本の救癩史において数々の重要な役割を担ったキリスト教は、一方で、国家による隔離政策や無癩県運動に迎合する側面も持っていた。著者は『小島の春』の小川正子の事例を中心に、女性史的観点も加えながら、戦前日本のキリスト教と天皇制に共通する理念や構造を暴き出す。その上で、キリスト教における癩病観を古代から検証しつつ、「信仰と人権の二元論」を乗り越えようとしている。行き届いた考証と達意の文章、鋭い分析が光る良書である。