Books on Leprosy / ハンセン病図書室
木々高太郎
講談社 1997年発行
解説
乱歩と論争して「最も優れた探偵小説は芸術作品となる」と主張、戦前の探偵小説界を牽引した著者は、大脳生理学を専門とする医学博士でもあった。昭和10年に「新青年」に発表した短編小説「青色鞏膜」は、当時の身分を超えた恋を背景にした探偵小説だが、ハンセン病の存在も事件に影響を与えている。いまだ不治の病であって、罹患することは、人によっては自ら死を選ぶほどの絶望を意味する。そんな当時の「常識」そのものが、謎を解くためのヒントになっている。