Books on Leprosy / ハンセン病図書室
岩下壮一
岩波文庫 2015年発行
解説
近代日本のカトリックの霊的指導者にして、私立病院の院長である岩下壮一は「プロミン」以前のハンセン病医療にかかわってきた。本書に収録されている「ある患者の死」には、命が消えゆく親交深き患者を通して、全生病院でみたハンセン病患者の面影を思い出し煩悶する心情を綴った。「私はその晩、プラトンもアリストテレスもカントもヘーゲルも皆、ストーブの中へ叩き込んで焼いてしまいたかった」。他にも随想や論文など、学的探究と信仰が結びつき永遠の真理への道を示す作品が収められている。