宮崎駿監督の特別講演に引き続き、人類遺産会議のパネルディスカッションがおこなわれました。議題は世界におけるハンセン病の歴史と取り組み、そして歴史保存をおこなっていくための課題など。セッション冒頭ではリニューアルされたばかりのILAハンセン病歴史ウェブサイト紹介もおこなわれました。
1月28日午後の部では今回、笹川記念保健協力財団の主導のもと一新されたILA(International Leprosy Association)のウェブサイト「History of Leprosy(http://leprosyhistory.org/)」について、オーストラリア・クィーンズランド大学のジョセフィーン・ロバートソン氏が紹介。キーワード検索可能なデータベース、世界、地域、国、療養所ごとの歴史と概要など、サイト上で紹介しているさまざまな情報と、各種情報へのリンクを埋め込んだ世界地図、最新情報をジャンルごとに紹介するブログなど、ウェブサイトのコンテンツ概要について説明しました。サイト構築で中心的役割を果たしたというロバートソン氏は、今後さらに情報共有を充実させていく予定であることなど、将来的な構想についても語りました。
ウェブサイト(写真右)について説明するジョセフィーン・ロバートソン氏
セッション1では世界におけるハンセン病の歴史と歴史保存に関する取り組みについてマレーシア、フィリピン、中国、タイの関係者が発表をおこないました。国内にある療養所の歴史、歴史保存のために建てられた博物館(マレーシア スンゲイ・ブローのオープンエア・ミュージアム、フィリピン クリオン島のミュージアム&アーカイブなど)を紹介。今後建設予定の博物館構想や、歴史保存のあり方などについても議論がおこなわれました。
写真左上:ファシリテーターをつとめたツァン・グオチェン氏
写真右上:ワン・ジンクァン氏は中国におけるハンセン病医療の歴史などを紹介
写真左下:これからつくられるミュージアムの概要を3Dアニメーションで紹介したアムナット・ジュムラスアロングポル氏
写真右下:発表後は会場からの質疑応答や今後の歴史保存をいかに進めるべきかなどの意見交換もおこなわれた
セッション2では「保存する・学ぶ・伝える〜主たるプレイヤーは誰か」と題してブラジル、ニュージーランド、香港、オーストラリアの研究者が登壇。パネリストが各国におけるハンセン病と治療の歴史、歴史保存を進めていくための学術調査や研究員の重要性などを語りました。セッション終了後は学術調査を進めるうえでの課題、外国人研究者の前に立ちはだかる壁などについても活発なディスカッションがおこなわれ、「ハンセン病の歴史は人類の歴史であり、関係者が協力しあって前進しなければならない」というコンセンサスが参加者の間であらためて確認されました。
写真左上:モデレーターのジョン・マントン氏
写真右上:アーカイブ保存に必要不可欠な学術調査とその調査を担うスタッフの重要性について語ったヤラ・ノゲイラ・モンテイロ氏
写真左下:発表後、各国の現状、調査活動における課題などが参加者から語られる場面も
写真右下:ハンセン病は人類の歴史であるという認識が重要と語るアルトゥロ・クナナン氏