ハンセン病制圧活動サイト Global Campaign for Leprosy Elimination

Blogブログ

両陛下作詞作曲の歌を収めたCDブック『歌声の響』が出版

Topics 2015.12.3

『歌声の響』書影11月6日(金)、天皇皇后両陛下が初めて作詞作曲された御歌「歌声の響」とその誕生エピソードが収録されたCDブックが発売されました。

1975年(昭和50年)7月、皇太子ご夫妻時代の両陛下が沖縄県にある国立ハンセン病療養所「愛楽園」(現・国立療養所沖縄愛楽園)をはじめて訪問しました。
愛楽園に着いた両陛下は居住区や病棟を周り、在園者一人ひとりに手を差し伸べ、言葉をかけながら温かな交流をはぐくまれました。その姿に在園者のみならず、まわりの関係者は大変な感激をしたそうです。まだハンセン病に対する差別や偏見が根強い時代でした。

両陛下がその場を後にしようとすると、期せずして沖縄の舟出歌「だんじょかれよし」の合唱が湧き起ります。「だんじょかれよし」とは「まことにめでたい」という意味で、祝い事や旅立ちの祝い唄に使われる言葉です。歌い始めたのは廊下からお見送りしていた盲人会の人々でした。笑顔の中に涙をうかべ、手拍子とともに歌う在園者たち。
両陛下は、歌が終わるまで、立ち尽くしたまま耳を傾けていたといいます。
陛下はこの時の体験を「琉歌」にして詠まれました。

「だんじよかれよしの歌声の響 見送る笑顔目にど残る」

歌声の響だんじょかれよしの歌声の響きと、これを歌って見送ってくれた人々の笑顔が今も懐かしく心に残っているという意味がこの歌には込められています。

在園者たちは感謝の気持ちを詠んだ作品集を両陛下に届けた際、陛下はお返しとして、その琉歌を園の「でいご琉歌会」へ贈り、琉歌はたちまち園内で歌われるようになりました。しかしそのうち、「この琉歌のための特別な曲があれば・・・」との声が上がり始めました。
そのことを耳にした陛下は常より音楽に親しんでいる皇后さまに作曲をすすめられたのです。意を汲まれた皇后さまは「愛楽園の人たちが楽しく歌える曲を」という思いのもと、沖縄の音階に近い旋律の曲をつくり、両陛下による初めての作詞作曲の歌曲「歌声の響」が誕生しました。

「歌声の響」は入園者の方々に歌われてきましたが次第に園外にも知られ、沖縄県の合唱団により歌われたり創作舞踊になるなど、両陛下と沖縄の人々をつなぐかけがえのない御歌となっているそうです。

【CD付】天皇陛下御作詞 皇后陛下御作曲 歌声の響 単行本
宮内庁 (監修), 朝日新聞出版 (編集), 鮫島有美子 (歌)