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Topics 2016.12.6
2016年10月1日から12月27日まで国立ハンセン病資料館企画展示室で開催されている企画展「生きるための熱 ─スポーツにかける入所者たち─」。この企画展に合わせ12月4日(日)、国立ハンセン病資料館1階映像ホールでトークイベント「野球談議 嗚呼、新良田(にいらだ)教室野球部 !!」が開催されました。
新良田教室は1955(昭和30)年、長島愛生園内に開校した療養所入所者対象の4年制・定時制高校。一学年30名、全校生徒120名という少人数ながら部活動も盛んで、なかでも野球部は強豪チームとして全国の療養所にその名を知られていました。この日のトークイベントに参加したのは、新良田教室野球部・創部当時に活躍した城正(しろ・ただし)さん、平野智(ひらの・さとる)さん、藤崎陸安(ふじさき・みちやす)さん、太田明(おおた・あきら)さんの4名。
イベントの冒頭では長島愛生園に新良田教室が開校するまでの経緯、同野球部の輝かしい戦績などが紹介され、夏の全国高等学校野球大会のテーマ曲『栄冠は君に輝く』に合わせて往年の名選手たちが入場するという演出も。続いておこなわれたトークでは野球に明け暮れた青春、当時の忘れられない思い出などについて熱い談議が繰り広げられました。
城さんは新良田教室まで野球指導にやってきた明治大学野球部の選手たちについて「明大野球部が長島にやってきたのは真夏のことでしたが、水もぼくらと同じ桶から飲むし、指導中もぼくたちをまったく病人扱いしなかった。それは当時、愛生園の職員でもできないことだったんです。60年以上も昔のことですが、いまだによく思い出します」とコメント。
1960(昭和35)年の夏休みに新良田教室の野球部員10名が東日本の療養所へ野球遠征に出かけ、連戦連勝だったというエピソードも紹介されました。藤崎さんは「野球の試合をしに行くという理由では外出許可は出ませんから、部員それぞれが一時帰省を理由に外出許可を取って、各駅停車で出かけていったんです。野球のことは何から何まで鮮明に覚えていますね」と当時を振り返りました。
試合を通じてできた全国の友達、厳しい練習を乗り越えるなかで育まれた友情、いまだ醒めない野球への思い。新良田教室野球部OBの情熱は、卒業から半世紀以上を経たいまも、まだまだ現役のようです。