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【連載】学生が見た「THINK NOWハンセン病」#11 :沖縄尚学高校地域研究部の紹介

Topics 2019.12.16

thinknowlogo
日本財団は、一人でも多くの人がハンセン病への理解を深め、偏見や差別について考える機会をつくるための運動「THINK NOW ハンセン病」を行っています。キャンペーンは、ハンセン病についての正しい理解を促進し、企画者・参加者が共に学びの機会を得られる活動であればロゴを使用するだけで、どなたでも参加できます。

今回は沖縄尚学高校地域研究部の取り組みについて部員のみなさんから記事を寄せていただきました。

黒木樹音(くろき じゅおん)
□地域研究部概要
私達が所属する沖縄尚学高校地域研究部は、沖縄県が抱える様々な問題を見つけ、それを高校生独自の目線で改善に近づけるため、日々活動を行っています。例えば沖縄の伝統舞踊の継承や白梅学徒隊(沖縄戦)の伝承、また昨年から再度地域を活性化するために「町戻しプロジェクト」に取り組んでいます。

□ハンセン病との出会い
私達が「ハンセン病」を知ったきっかけは、元ハンセン病患者の平良仁雄さんとの出会いにあります。平良さんが物語ったのは、病気ではなく周りからの差別や偏見の残酷さでした。平良さんから強く感受した苦しみや悲しみ、そして怒りが私達の心を奮い立たました。私達が白梅学徒隊の伝承活動を行い、学んできた「沖縄戦」と同じく、ハンセン病に対する差別や偏見も沖縄で起きた悲劇であり、二度と繰り返してはいけない大きな過ちであることに気付かされたのです。
ここから私達は、「彼らのために何ができるのか」を考え活動を行ってきました。例えば、国立療養所沖縄愛楽園に訪れ、元患者の方々にインタビューをする中で、私達は『元患者の方々の声を形として残す』べきだと考えるようになりました。それは私達が活動を通して、ハンセン病に対して新たに興味・関心を抱いてもらうことの困難さを痛感していたからです。そして沖縄のハンセン病元患者の高齢化が進む今、直接彼らの声を聞くことのできる最後の世代かもしれないことも感じていました。だから今私達にできることは、彼らの声が時代を超えて届くように「形として残すこと」だと思ったのです。
文字からは計り知ることのできないハンセン病のことの重大さは、体験者の声から痛いほど伝わってくることを私達は知っています。広い世代の人々が時を経て「ハンセン病」に対して興味・関心を抱いた時、彼らの「声」を聞けるように、ハンセン病を知るための「ツール」となるように、声を形として残したい。この思いを胸に、私達は一本のビデオを制作しました。

□感想
玉城琉音(たまき りゅうおん)
私は、地域研究部に入部してから "ハンセン病"を知りました。"ハンセン病"について無知だった高校一年生の私は、沖縄愛楽園に訪問し今までに感じたことのないような衝撃を受けました。ハンセン病患者達に向けられた社会からの偏見や差別は過去の出来事ではなく、つい最近まで行われていたことであり、二度と繰り返してはいけない過ちです。これは"ハンセン病"への正しい知識や理解が十分になかった上で始まってしまったことではないかと思いました。そこで無知の恐さを改めて痛感し、過去の私のように"ハンセン病"という名前すら聞いた事の無い人達に少しでもこの"ハンセン病"という病気のことを知ってもらいたいと感じ、高校生から何らかの形で発信出来ることがあるのではないかと考えました。そして、高校二年生になった私は先輩達が実現することができなかった「元ハンセン病患者達の声を形にする」という課題を達成するために、宮古島南静園に自ら足を運び元ハンセン病患者の方々に直接インタビューした動画を1本の短編ドキュメンタリーとして形に残すことにしました。今回は、自分達が制作した短編ドキュメンタリーをこのようにして発信させていただくことができ、微力ではありますが私達「若者」が「若い世代」へ正しい知識や理解を伝えられる担い手として活動できたことを誇りに思っています。最後に、偏見や差別をもたれている全ての人々にとって住み良い社会を私達「若者」が築いていけるように、これからも活動していきたいと思います。

新垣莉里佳(あらかき りりか)
私は昨年の夏、国立ハンセン病療養所宮古南静園に訪問しました。現在、宮古南静園でボランティアガイドとして活動をしている上里榮さんを中心に、知念正勝さん、野原忠雄さん、豊見山一雄さんの四人の方から当時の体験談を聞くことができました。四人の元ハンセン病患者達は、何も罪を犯したわけでは無いのにも関わらず「ハンセン病」というだけで隔離され、苦しかった。と共通しておっしゃっていました。私は、二度とそのような過ちを起こさないために、次世代を担う私達に出来ることは、ハンセン病についての正しい知識を若い世代に伝える義務があるのだと感じました。元ハンセン病患者達の高齢化が進んでいる今、彼らの心の声を聞く機会を頂けたので、今回の交流を無駄にせず、これからは私達が彼らの意志を引き継いで後世に伝えていけるように活動していきたいと思いました。

宮國理子(みやぐに りこ)
遠い存在だと思っていたハンセン病を身近に感じるきっかけとなった体験でした。宮古島出身であるにもかかわらずハンセン病と迫害の歴史を知りませんでした。私のように知らない人は今後増えていき、歴史が風化していってしまうのではないかと不安に思います。話を聞ける最後の世代として後世へ伝えたいと強く感じます。

仲谷倫太郎(なかや りんたろう)
今回、南静園に訪問し色々学ぶことが出来ました。自分は南静園に行くまでハンセン病についてあまり知りませんでしたが、南静園で元ハンセン病患者の方々にお話を聞いたり、資料などを見たりすることで、ハンセン病は完治する病気である事や、完治するにも関わらず偏見をもたれ差別されてしまっていた人々がたくさん居たという事がわかりました。これからはこのような偏見等で苦しむ人を出さない為にも、みんなにハンセン病についての正しい知識を持ってもらえるように、自分達が伝えていくべきだなと思いました。