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Topics 2020.2.26
日本財団は、一人でも多くの人がハンセン病への理解を深め、偏見や差別について考える機会をつくるための運動「THINK NOW ハンセン病」を行っています。
今回は、日本財団と笹川保健財団が主催したグローバル・アピール2020(GA)(※)に参加した、菊池さんと田中さんが記事を寄せてくださいましたので紹介させていただきます。
※毎年1月最終日曜日の世界ハンセン病の日にちなみ、WHOハンセン病制圧大使笹川陽平のイニシアティブの下2006年以来開催され、ハンセン病にまつわる差別及びさまざまな問題を世界に訴え、人々に理解を深めてもらうことを目指した式典
菊地花菜さん
共立女子大学国際学部3年の菊地花菜です。2020年1月27日にグローバル・アピール2020に参加させていただきました。私は、FIWC関東という団体に所属し、国内外のハンセン病療養所に訪問、ワークキャンプ(※)などの活動を行っています。去年の夏は中国のハンセン病快復村(※)でのワークキャンプ に参加しました。
※ワークキャンプとは、自ら労働(ワーク)をしながら現地に滞在する(キャンプ)をする合宿型のボランティア形態。
※中国のハンセン病支援団体「家-Joy In Action(JIA)」のメンバー間では、人権回復する前から尊厳を持って生きてきた回復者に対し、「回復」の代わりに、単に病気が治ったという意味の「快復」を使っている。
今回GAに参加し、ラウンドテーブル(※)というイベントででお話されていた、「人それぞれ当たり前は違う」という言葉がとても印象に残っています。このお話を聞き、自分が当たり前だと思っていることは、他人にとってはあたり前ではないかもしれない。自分や相手の気持ちを受け止めることの大切さを感じました。
※ハンセン病回復者、義肢装具士、歴史継承に携わる学芸員、ジャーナリスト等、ハンセン病の問題を見つめてきた様々な立場の専門家達と、「『違う』を当たり前に」というテーマについて、教育、行動という視点から、ディスカッションを行う、笹川保健財団主催のイベント。
今回のGAには多くの学生、社会人の方が参加されていて、義足技師、パラリンピック、ハンセン病快復村での活動、国際ボランティア、海外留学など、様々なバックグランドを持った方達のお話を聞くことができ、とても貴重な時間を過ごすことができました。ハンセン病に興味がある若者はまだまだ少ない印象と思います。。これから、もっともっとハンセン病という言葉を沢山の若者に知ってもらい、日本でのハンセン病の歴史についてもっと興味を持ってもらいたいと思いました。
田中彩乃さん
初めまして。日本体育大学4年田中彩乃と申します。私は、1月27日に開催されたグローバル・アピール2020(GA)に参加させていただきました。参加したきっかけは、中国のハンセン病快復のワークキャンプに参加した経験があり、その先輩に招待していただいたからです。また、GAには、世界中から多様な方が来られると聞き、興味を持ったからです。
はじめに行われたのは、ラウンドテーブルでした。ハンセン病という病気については、今までも国立ハンセン病資料館やイベントなどを通じて学んできました。しかし、ここでは、ハンセン病だけでなく、義肢装具士の方やパリンピック選手の方の『当たり前』をお聞きすることができました。
義肢装具士の方のお話を聞いたのは今回がはじめてでした。義足一つにしても、それぞれの人によって微妙に異なるもので、それを一つ一つ思いを込めて作られているということは知りませんでした。当事者の方は今まで立って歩けていたのに、突然の事故により車椅子生活を余儀なくされる時があります。義肢装具士の立場では、この義足がいいと感じていても、当事者の方にとっては使用し辛いと感じることもあるそうです。『人にはそれぞれの当たり前がある。』だからこそ、自分の当たり前を押し付けてはならないし、他者を受け入れ、認め合うこころが大切であると感じました。
また、インクルーシブな社会についてもう一度考えるきっかけとなりました。大学の講義の中でもインクルーシブ教育という言葉をよく耳にしました。インクルーシブとは?インクルーシブ教育とはどんな教育?これらについて私は今までなんの知識もなく、どういうものか問うこともしていませんでした。インクルーシブな社会をつくるためには、「想像力を巡らせる」、「互いの良いところを見つける」などの様々なやり方や考えた方がありました。ただ漠然と、「インクルーシブな社会を作ろう!」というより、インクルーシブな社会を作るために何をすればいいか、何が必要かを一人一人が具体的に考えることをしたいと思いました。
次に行われたのは、GAでした。ここでは、普段なかなか会えないような方(首相、大臣、パラリンピック関係者など)も多く登壇されていました。ハンセン回復者やその家族、今まで差別で苦しんでいた方々が自らの声を多くの人に届け啓発活動をするのはとても意義深いことだと感じました。
今回参加して学んだことは、「出会った人を大切にすること」、「当たり前は人によって違うこと」、そして「ハンセン病という病気で今も苦しんでいてその差別を撤廃しようと世界でたくさんの人が活動しているということ」です。ハンセン病差別撤廃のために自分が今できることは何なのかもう一度考え、それを行動に移します。
<団体紹介>
FIWC関東委員会
1956年の創設以来、ハンセン病差別や災害・インフラ問題に対して国内外で様々なワークキャンプを行っています。小学校や橋、コミュニティハウスの建設などを現地調査からワーク、完成まで”村人と”共に行います。
https://fiwckantoblog.wordpress.com/
<ワークキャンプとは>
生活環境や設備が整っていない地域に滞在し、現地の人達と協力しながら生活インフラを整える滞在型ボランティアです。FIWC関東委員会中国キャンプでは、年に二回、春と夏の長期休みを利用して、中国人大学生と二週間程度の活動を行っています。活動内容は現地のハンセン病快復村に泊まり込み、インフラ整備(道路の補修や貯水タンクの建設など)や近隣の町へのハンセン病の啓発活動、村人との交流などがあります。