世界の政治・宗教・経済・教育・法曹・医療など各界の代表者によって署名・宣言されてきたグローバル・アピール。今回の「グローバル・アピール2015」では、ハンセン病治療の最前線で患者や回復者に寄り添う看護職の人々を代表して、国際看護師協会と各国看護協会の賛同により、メッセージが発信されました。
署名された宣言文を壇上で読み上げる参加者たち
ハンセン病患者、回復者、その家族に対する差別撤廃を世界に訴えるイベント「グローバル・アピール2015」が1月27日、東京都内で開催されました。通算10回目の開催となる今回のグローバル・アピールは初めて日本で開催され、宣言文には世界132カ国の国際看護師協会が署名。ケアを必要とする人たちに寄り添う看護職という立場から、「ハンセン病は治る病気にもかかわらず、社会に蔓延するスティグマにより、患者、回復者、彼らの家族までもが社会から排除され、耐えがたいほどの苦難を強いられています」と厳しい現実を指摘、その上で「私たち看護職は、ハンセン病患者や回復者が、治療やケアを受ける権利を支持するとともに、患者、回復者、その家族たちへの差別がなくなることを訴えます」と世界に向けてアピールしました。
差別・偏見の解消に向け、政府として取り組んでいくと語った安倍首相
宣言式典には安倍晋三首相も出席し、スピーチを行いました。過去の施設入所施策が患者の人権に大きな制限・制約をもたらし、社会的偏見や差別を助長したこと、約20年前に大きな政策転換を行い、回復者に対して謝罪・補償を行ってきたことなどに触れた上で、「これからも回復者の方々が安心して暮らしていけるよう努め、また、ハンセン病に対する差別・偏見の解消に取り組んでいく」と政府としての決意をあらためて表明。出席した塩崎恭久厚生労働大臣からも、差別撤廃に向けての決意が語られました。
会場では、この日のために制作された約10分間のドキュメンタリー映像「Leprosy In Our Time」のほか、潘基文国連事務総長、ダライ・ラマ法王からのビデオメッセージなども紹介されました。
写真左:グローバル・アピールの主催者として挨拶する笹川陽平氏
写真右:国際看護師協会のジュディス・シャミアン会長も登壇