Peel Island
ピール島
オーストラリア
Leprosy and the Islands / 世界の島は語る
Peel Island
オーストラリア
「ハンセン病の島」という負の歴史を
遺産として残す南海の孤島
ピール島はオーストラリアの東海岸、ブリスベーン市の東側の小さな島。1874年から1890年代の終わりまで、オーストラリアに到着する移民を検疫するための島として使われた。
1800年代半ば、中国人労働者の流入により南太平洋地域にハンセン病患者が増加した。1893年、政府は白人への感染の恐れから「らい対策法」を施行、1907年、周辺の海にはサメが多く、逃走が困難であるとのことからピール島に療養所が設置された。
施設は、白人男性・女性、有色人種男性・女性の4棟に分けられ、最高時には88人の患者が生活した。患者の外出は許されなかったが、15歳以上の家族には月2回の面会が許された。30名あまりのスタッフが働き、週1回医師の回診もあった。1930年からは白人患者のみが生活したが、1947年、プロミン治療が始まると患者数は減少、最後の入所者を本土の病院に移し、1959年、施設は閉鎖された。
その後30年間、政府はこの施設をキャンプ場やリゾートに転換しようと売却を試みたが、「かつてのハンセン病施設」というイメージをぬぐい去ることができず、失敗におわった。2007年、原住民の要請により、裁判所の判断で、ピール島は原住民の土地として保護区となり国立公園になった。島の北西の地区には、かつてのハンセン病施設が歴史遺産として保存されている。
ピール島
国:オーストラリア
面積:5.9㎢
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The Lost Years
– A Story of Leprosy
June Berthelsen(著)
SURREY BEATTY & SONS
1996年発行