ハンセン病制圧活動サイト Global Campaign for Leprosy Elimination

グローバル・アピール

「グローバル・アピール」は、ハンセン病にまつわる差別及びさまざまな問題を世界に訴え、
人々に理解を深めてもらおうというキャンペーンです。
このキャンペーンは、WHOハンセン病制圧大使であり、
日本財団会長でもある笹川陽平氏の主導により、2006年から始まりました。
イベントが開催されるのは、「世界ハンセン病の日(1月最終日曜日)」のある、毎年1月末。
会場では、特定テーマのもとに集まったゲストたちが、署名を行い、
世界に向け宣言文という形でメッセージを発信します。

グローバル・アピールの目的

グローバル・アピールが目指しているのは「ハンセン病患者、回復者の尊厳、および人権の回復」です。その実現のためには、ハンセン病が薬で完治する病気であること、治療に必要な薬は世界中どこでも無料で提供されていること、患者や回復者に対していわれのない差別をしてはいけないこと、これら三つの基本的な知識や考え方を、できるかぎり多くの人たちに知ってもらう必要があります。グローバル・アピールの宣言文でも、これら三つのメッセージは、繰り返し訴えてきました。

もちろん、正しい知識を得ることは始まりにすぎません。最終的には、ハンセン病に対するいわれのない差別がなくなるよう、私たち一人ひとりの力で、社会を変えていかなければならないのです。グローバル・アピールでは毎年、特定のテーマを設定し、宗教指導者、政治指導者をはじめ、経済界、医師会、法曹界、人権活動団体などに協力をお願いしてきましたが、この根底にあるのも、さまざまな分野の方たちに賛同してもらうことで、より具体的なアクションにつなげていきたいという思いです。また、こうした機会を通じて育まれた各界とのパートナーシップは、今後の活動にも、きっと役立ってくれることでしょう。

グローバル・アピールの歩み

2006

インド・ニューデリーで開催。記念すべき第1回のグローバル・アピールは、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世、ジミー・カーター元米国大統領、デズモンド・ツツ大司教など、ノーベル平和賞受賞者を含む世界のリーダーたちによって、署名、宣言されました。宣言文では、国連人権委員会に対し、差別撤廃のための基本原則、ガイドライン作成を求めるとともに、世界中の人たちに、みずからの認識を変えていくよう訴えかけました。

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2007

フィリピン・マニラで開催。フィリピン、インド、アメリカ、日本など、世界13カ国から集まったハンセン病回復者の代表により、署名、宣言されました。スティグマと差別を撤廃するために、当事者である回復者自身が声をあげたという事実は、世界に対して強いインパクトを与えました。

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2008

イギリス・ロンドンで開催。2008年は、世界人権宣言から60周年を迎える年であることから、アムネスティ・インターナショナルや、セーブ・ザ・チルドレンなど、世界的な人権NGOの賛同を得て署名、宣言が行われました。ハンセン病にまつわるスティグマや差別を「人権問題」としてとらえるというスタンスが、多くの賛同と共感を生みました。

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2009

イギリス・ロンドンで開催。世界的宗教指導者17名が集まり、署名、宣言を行いました。ハンセン病が書かれた最初の書物は紀元前6世紀のインドまでさかのぼると言われ、手足や顔に変形をともなうことから、長年、神からの罰や業病として、差別の対象となってきました。世界中の宗教指導者が、そのような差別をしてはならないというメッセージを発し、人々を啓発したことは、大きな意義をもつできごとでした。

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2010

インド・ムンバイで開催。この年のグローバル・アピールは、トヨタ自動車、ヴァージン・グループ、タタ・グループ、ジョンソン&ジョンソン、ルノー、ノバルティスなど、世界的企業のトップが、ハンセン病患者、回復者の経済力向上の必要性を訴えました。物乞いで生計を立てることを余儀なくされているハンセン病患者、回復者が就労に関する差別を受けることなく、経済的に自立していくことは、とても重要な課題のひとつです。

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2011

中国・北京で開催。世界各国、100以上に及ぶ大学の学長が賛同し、署名、宣言を行いました。この宣言には、社会的差別をなくしていくための第一歩として、教育が果たす重要性を再認識するという意味がありました。スティグマや差別をなくすためには、まず正しい知識を得ることから、という原則には、これからも変わりはありません。他者の痛みに気づき、自分自身の問題として捉える倫理観は、教育によって養われるものだからです。

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2012

ブラジル・サンパウロで開催。ハンセン病患者を隔離する医学的根拠が存在しないことを訴える世界医師会、および50カ国の医師会により、署名、宣言されました。ハンセン病は、1982年にMDTという治療法が確立され、治癒可能になりました。にも関わらずなくならない差別を、科学的根拠のあるメッセージによって正していこうというのが、その狙いです。ハンセン病は非常に感染力の弱い病気で、軽い接触によって感染することはなく、隔離などの必要もまったくないのです。
※グローバル・アピール2012は、ポルトガル語、中国語、インドネシア語、アムハラ語、ネパール語、スペイン語、スワヒリ語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、日本語、ヒンディー語、ベンガル語、その他複数のインド語派言語などに翻訳され、世界中から広く共感を集めました。
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2013

イギリス・ロンドンで開催。国際法曹協会および各国・地域の法曹協会の賛同を得て、署名、宣言されました。宣言にはハンセン病に関する差別的な法律や、規則などの廃止を呼びかけるメッセージも盛り込まれています。これはハンセン病患者や回復者のためであると同時に、私たち一人ひとりが、知らず知らずのうちに彼らを傷つけていることに気づかなければいけないという、二重の意味をもったメッセージでもあるのです。法曹協会とのパートナーシップは、患者や回復者にとっても、非常に心強いものになっていくことでしょう。 

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2014

インドネシア・ジャカルタで開催。世界39カ国の国家人権機関の賛同を得て署名、宣言が行われました。ハンセン病患者、回復者が人間として尊厳をもって生きられる世界を実現するためには、さまざまな人権侵害の事例調査、政府への進言、国内関係者や市民社会と協力して継続的な啓発活動とキャンペーンを行うことなどが、欠かせません。各国の人権機関は、そのための強力なパートナーとなってくれるはずです。すでにNGOや各国政府と協力し、活動を行っている人権機関も数多く存在しています。

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2015

日本・東京で開催。世界の政治・宗教・経済・教育・法曹・医療など各界の代表者によって署名・宣言されてきたグローバル・アピール。ハンセン病治療の最前線で患者や回復者に寄り添う看護職の人々を代表して、国際看護師協会と各国看護協会の賛同により、メッセージが発信されました。

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2016

日本・東京で開催。グローバル・アピール宣言式典では、国際青年会議所が世界130カ国に有するネットワークを通じて「ハンセン病を理由とする差別が不当であること」を訴え、こうした差別と闘い、「ハンセン病患者らが他の人と同等の機会を得ることができる社会の実現を目指す」と世界に向けて呼びかけました。

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2017

インド・ニューデリーで開催。世界171の国と地域の国会が加盟する列国議会同盟(IPU)と共に、ハンセン病の当事者も政治的な議論や決定に参画する権利を持つこと、ハンセン病当事者を含む全ての人たちにとって平等な社会づくりを推進することを訴えました。

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2018

インド・ニューデリーで開催。世界の障害者団体である障害者インターナショナル(DPI)が、ハンセン病回復者と共に、両者の共通のゴールであるインクルーシブな社会の実現に向け、権利と平等の機会のために声をあげることを誓いました。

2018年 グローバル・アピール宣言文と署名はこちら(英語のみ)

2019

インド・ニューデリーで開催。100カ国4500万社以上の企業ネットワークを有する国際商業会議所(ICC)と共に、ハンセン病回復者を含む全ての人が、スティグマや差別に阻まれることなく自らの力を発揮し、尊厳をもって働ける社会の実現を呼びかけました。

2019年 グローバル・アピール宣言文と署名はこちら(英語のみ)

2020

日本・東京で開催。東京パラリンピック招致年である2020年にあわせ、共生社会の実現を目指す国際パラリンピック委員会(IPC)と共同で、第15回目となるグローバル・アピールを発表し、差別の撤廃と多様性を尊重することの重要性を訴えました。

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2021

オンラインで開催。すべての働く人々の権利と利益を促進、擁護することを使命としている国際労働組合総連合(ITUC)と協力し、ハンセン病患者・回復者のスティグマをなくし、差別的な理由で働く権利が奪われることがないよう訴えました。

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